日本リユースシステム株式会社(本社:東京都港区、代表取締役:山田 正人)はこの度、「環境 人づくり企業大賞2019」(主催:環境省、環境人材育成コンソーシアム(EcoLeaD))において、最優秀賞にあたる環境大臣賞を受賞しました。弊社が社員に実施している環境(SDGs)教育と、それが基となり始まった「お針子事業」が、日本で不要になった着物や帯の廃棄減少と温室効果ガスの削減につながり、SDGsの達成に貢献している点が評価されました。
「お針子事業」は、一般家庭などに眠る着物を集めてモンゴルの現地法人に輸出し、民族衣装「デール」の素材として再利用してもらうものです。現在、株式会社BuySell Technologies(本社:東京都新宿区、代表取締役社長兼CEO:岩田 匡平)及び東京都セルプセンター(事務所:東京都中野区、事務局長:横内 康行)と連携して運営しており、「伝統(着物や帯)×伝統(民族衣装)=進化(進化系民族衣装)」のテーマの下、これまでに41万点以上の着物や帯を形と価値を変えて活かしてきました。
「環境 人づくり企業大賞」は、地球環境に配慮した企業経営の必要性を認識し、その実現のため自ら進んで行動する人材(環境人材)を育成する企業を表彰するもので、6回目となる今回は合計81件の応募がありました。 この度、弊社の環境人材育成の取り組みについて下記の点が評価され、受賞しました。
●環境(SDGs)教育として、全社員を対象に希望するセミナーを無料で受講できるようにしているほか、新入社員向けの基礎講座を実施。また、環境を意識させる取り組みとして、暖房の使用を減らし、省エネにつながる「体ぽかぽか体操」を実施している。
(写真:専門のトレーナー(株式会社MILK、代表取締役:鈴木 果林)を招き、弊社お針子ジパングセンター(輸出倉庫)で「体ぽかぽか体操」を実施している様子)
●環境(SDGs)教育の効果として、ハンドメイドが趣味という社員の発案がきっかけとなり、「お針子事業」を2017年に開始した。約41万点の着物、帯を再利用してきたほか、日本やモンゴルの学生に着物等が廃棄される現状を知ってもらい、環境への意識を高めてもらうよう、両国の学校でセミナーを開催。着物等が大量廃棄される問題解決のコンセプトに賛同した日本の服飾学校の生徒らが「お針子デール」を仕立て、モンゴルの催しで披露するなど、着物等の廃棄減少につなげるための取り組みを実施している。
(写真左下:モンゴル教育大学にてセミナーを開催している様子/写真右下:2019年ウランバートル市にて開催された「Japan Festival in Mongolia」のイベントにて、文化服装学院の生徒らが作成した「お針子デール」を披露している様子)
●こうした取り組みを通じ、着物の処理時に排出される温室効果ガスを削減し、SDGsの達成に貢献している。
■日本リユースシステム株式会社 お針子事業担当 望月美香 コメント
弊社の環境(SDGs)教育と、それを基に始まったお針子事業の取り組みが評価され、今回このような名誉ある賞をいただけたことは大変光栄です。
着物や帯は日本の誇るべき伝統文化ですが、様々な理由により、それらが不要なものとしてたくさん捨てられている現状を残念に思い、少しでも変えられればと始まったのがお針子事業です。共同運営事業として携わってくださる企業様・団体様と連携し、海を越え、モンゴルで着物や帯に新たな価値を生み出し、「お針子デール」として形を変え、活かされている様を見るのは本当に大きな喜びです。
これまでに累計で41万点以上の着物や帯を活かしてきましたが、これからもお針子事業の取り組みによって、廃棄される着物や帯を減らし、環境問題や日本の文化を若者や海外の方へ伝える懸け橋になることを願いつつ、SDGs達成に向けて一層励んでまいります。
■お針子事業 共同運営企業 株式会社BuySell Technologies 商品戦略本部 商品1部 部長 井上彰様 コメント
環境大臣賞受賞おめでとうございます。
弊社では年間100万点以上の着物を買い取りさせていただいておりますが、残念ながら、状態やサイズ、トレンドから日本国内での販売が難しい着物が一定数ございました。昨年度より開始した日本リユースシステム様とのモンゴルでの着物の再利用の取り組みで、環境と人づくりに貢献することが評価され、非常に嬉しく思っております。引き続き、日本リユースシステム様と連携しながら、持続可能な社会の実現を目指してまいります。
■お針子事業 共同運営団体 東京都セルプセンター 事務局長 横内康行様 コメント
日本であまり使われていない着物や帯が、世界中でリサイクル・リユースされることは大変素晴らしいことだと思います。
世界中が温室効果ガス削減に向け、地球を取り巻く環境問題も含めて取り組んでいます。その中で、日本の古来より使われている着物は、日本以外の国から素晴らしい織物として賛辞を浴びており、海外の観光客がたくさん購入していきます。今回モンゴルで日本の着物の生地を活かした民族衣装に再利用していただけることは大変嬉しく、ありがたいことだと思います。
現在、東京都セルプセンターに所属する福祉作業所の3施設が、この着物を解体するお仕事をさせていただいています。ハンディキャップのある方の仕事が国境を超えて、モンゴルのハンディキャップのある方たちと連携ができることは何と素敵なことではありませんか。嬉しい限りです。物を大切にすることは、本当にとても素晴らしいことなのだと強く感じています。特にヨーロッパの人々は古い物を大切にしています。見習いたいです。
環境大臣賞(最優秀賞)受賞誠におめでとうございます。
■お針子事業 共同運営団体 東京都セルプセンター所属 社会福祉法人品川総合福祉センター さつき 佐藤様 コメント
様々なことが速いスピードで変化していく世の中で、日本の着物が時代を越え、形を変え、新たなものとして生まれ変わっていくことは、喜ばしいことです。またそこに、多様なハンディキャップのある方たちとともに関われたことを、大変嬉しく思います。
これからも、このような取り組みに関わっていくことが、利用者や私たち職員の励みとなります。ありがとうございます。そして環境大臣賞(最優秀賞)受賞おめでとうございます。
■お針子事業 共同運営団体 東京都セルプセンター所属 社会福祉法人つむぎ おだまき工房 施設長 岡田眞人様 コメント
この度は、環境大臣賞受賞おめでとうございます。
私たちは普段、着物や布地を細く切り裂いて織る「さき織り」の仕事をしています。着物をほどく作業は普段から親しみがあったため、日本リユースシステム様の取り組みに共同運営団体として参加しています。
私たちのほどいた着物が、日本やモンゴル、北欧などで喜んで使われる!なんて素敵なお話でしょうか。作業に取り組むメンバーの励みとなっています。
この「お針子事業」の取り組みが着実に根づいていくことを願っています。私たちもささやかですが、これからもそのお手伝いができればと思っています。
■社会福祉法人つむぎ おだまき工房のメンバー 吉澤様 コメント
着物をほどく作業はすごく楽しいです。着物は色がきれいで、柄もたくさんあります。
ほどくのが難しい着物もあり、生地を傷つけないようにいつも気をつけて作業しています。
■「Japan Festival in Mongolia」のイベントにて披露した「お針子デール」を作成した学校法人文化学園 文化服装学院 専任講師 森本慧様 コメント
日本の着物文化に触れながら、さらにモンゴルの民族衣装のデールとしてデザインし、リユースする取り組みは、学生たちの着物への関心を深めるとともに国際交流の懸け橋となり、さらにはSDGsへの貢献により、ものづくりの分野での環境問題や社会問題への意識づけのきっかけへとつながりました。
■お針子事業について
日本で行き場をなくした着物や帯を、東証マザーズ上場企業の株式会社BuySell Technologiesと連携して一般家庭やリユース企業から集め、民族衣装「デール」を頻繁に仕立てて着用するモンゴルをターゲットに現地法人へ輸出しています。
「お針子デール」専門の仕立屋「JIROサロン」の運営や、SNS等を活用し、着物や帯を素材として使用した進化系民族衣装「お針子デール」の認知拡大に努めてきました。これにより、モンゴルにおける素材活用の需要を創造し、これまでに累計で約415,320点の着物や帯を活かしてきました(2020年4月30日時点)。
また、シミや汚れがある着物や帯を捨てずに活かす目的で、2019年にはアップサイクルクロスの「Kimono Upcycle Cloth ohariko」、「Kimono Upcycle Cloth mini ohariko」を開発し、東京都セルプセンターに所属する福祉作業所、モンゴルの福祉作業所、シングルマザー、ゲル地区に住む貧困層と連携して製造しています。これらを、日本で右肩上がりに規模が広がるハンドメイド市場にて再販売するとともに、SDGs先進国の北欧へ輸出する予定です。お針子事業の取り組みによって、SDGsの目標のうち9つのゴール達成に貢献しています。